式辞
桜のつぼみもここ数日の暖かさで、ようやくほころび始めました。厳しかった冬を耐え抜いて咲く花は、一層美しく目に映ります。
本日は、ご多用の中、地元選出の3名市議会議員の皆様、花園総合支所長様、花園公民館長様、飯島PTA会長様をはじめ、大勢のご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに第六十六回花園中学校入学式・始業式を挙行できますことは、まことに大きな喜びであり、職員一同、心より感謝申し上げます。
103名の新入生の皆さん、そして保護者の皆様、ご入学おめでとうございます。お子様の大きく成長された姿に、喜びもひとしおかと存じます。心より祝福申し上げます。
皆さんが入学した花園中学校は、地域の方々の情熱と努力によって昭和22年に開校し、今年で66回目の入学式を迎える伝統ある中学校です。
この伝統ある入学式にあたり、学校教育の根幹となります「立志」と「忠恕」についてお話しします。
「立志」と「忠恕」については、日本近代経済の父 渋沢栄一翁の教えでもあり、深谷市全体を通じて取り組んでいる教育の根本でもあります。
1つめの「立志」とは、志を立てるということです。
つまり、夢を持ち、将来の目的を定めて、これを成し遂げようとすることです。
先日、ある卒業生が私のところにあいさつに来てくれました。彼は、中学時代に、将来パイロットになりたいという夢を持っていました。パイロットになりたい夢を叶えるため、石川県にある日本航空高校に進学しました。一人で親元から離れ、高校の寮で、最初は淋しくつらい集団生活を送ったそうです。
パイロットになりたいという目的意識をしっかり持っていたので、淋しさやつらさにもめげず、優秀な成績で卒業することができたそうです。
この春、京都の舞鶴にある海上保安学校の航空課程に、難関を乗り越えて無事合格することができたそうです。
本校には、他の中学校にはない「立志式」があります。
一人一人が、志を立て、強い精神力を身につけて、自分の夢の実現を図ってください。
ことわざに「家庭の教えで種をまき、学校の教えで花を咲かせ、地域の教えで実をつける」というのがあるように、
この花園中学校三年間は、学校・家庭・地域が一体となって皆さんの夢を実現するお手伝いをします。
次に、2つめの「忠恕」についてお話しします。
「忠恕の忠」とは「まごころ」のことです。
「忠恕の恕」とは「思いやり」のことです。
つまり、「忠恕」とは、まごころと思いやりです。
宮沢章二先生の詩の一節に
「こころ」はだれにも見えないけれど
「こころづかい」は見える。
「思い」は見えないけれど、
「思いやり」はだれにでも見える。
というのがあります。
だれにでも見えるというのが大切なことで、
「忠恕」とは、他人のために尽くそうという純粋な気持ちを、他の人から見える形で表すことだともいえるでしょう。
「忠恕」を見える形にしたもののひとつに、本校で取り組んでいる「時・場・礼」があります。つまり、「時を守り、場を清め、礼を尽くす」ということです。
「忠恕」に関して、花園中に赴任して、感じたことがいくつかあります。
1つには、生徒の皆さんや先生方のあいさつがとても良く、気持ちが良いということです。
さすが、日本一のあいさつを目指している花園中学校だと思います。これからも「忠恕」の基本であるすばらしいあいさつを地域ぐるみで続けていってほしいと思います。
また1つには、この式場にも飾られているお花の多さ美しさです。生徒の皆さんや先生方が、種から愛情込めて汗を流し育てた花々は、その心持ちも含めて何よりも美しいと思います。お金を出せば何でも買える時代ですが、お金で買えない価値が本校のお花には宿っています。
このお花も「忠恕」を目に見える形にしたものだと思います。
花と緑と白鷺の花園中学校ですので、今後も発展をお願いしたいと思います。
この他にも、「清掃へのまじめな取り組み」「集合時間を守れること」など、「忠恕」を見える形にした実践が多くみられました。花園中の良き伝統は、引き継いでいってほしいと思います。
以上、「立志」と「忠恕」についてお話ししましたが、花園中学校では、様々な場面で「立志」と「忠恕」を常に意識しながら、充実した学校生活を送ってほしいと思います。
皆さんの中学校生活が、夢の実現への第一歩となるように、私たち職員一同は、家庭・地域の皆様のご支援・ご協力を賜りながら、誠心誠意、子どもたちの教育に取り組んで参ります。
安心してこの花園中学校で充実した学校生活を送ってください。
結びに、新入生の皆さん、二年生・三年生の皆さん、ご家族の皆様、ご来賓の皆様のご健勝とご発展を祈念申し上げ、式辞といたします。
平成24年4月9日
深谷市立花園中学校 校長 清水 勉